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セクハラ被害について会社として必要な対応、会社の安全配慮義務違反について

  • 執筆者の写真: はまなす法律事務所
    はまなす法律事務所
  • 6月8日
  • 読了時間: 3分

本件は、従業員のセクハラ被害について会社の責任を認めた近時の高裁の裁判例です。以下のように、会社として深刻なセクハラ被害発生が起きる可能性を否定できない状況や問題行動が具体的に発生しているなどの状況では、単に、会社として、ハラスメント防止規定を設けていたりハラスメントに関する冊子を配布していたりするなどの一般的な対応を取っていただけでは、十分なものではなく、具体的な状況を踏まえた被害防止の対応が必要とされることに留意する必要があろうかと思います。


名古屋高等裁判所令和7年9月10日判決(抜粋)

「上記事実によれば,Bは社内外の女性に対しセクハラ行為や身体的接触行為を繰り返していたものであり,被控訴人はそのことを知り少なくとも容易に知り得たのであるから,被控訴人は,Bに対して,セクハラ行為があってはならない旨を明確に示して特に教育を行い,Bのセクハラ行為に関する認識が改善したことが分かるまでは,できる限りBが横乗りなどにより女性従業員と業務上 二人きりになる機会がないようにするなどして,被控訴人の女性従業員がBからセクハラ行為を受けることを防止すべき注意義務を負っていたというべきである。そうであるのに,被控訴人は,Bの集荷先女性従業員に対するセクハラ行為という被控訴人の対外的信用を失墜させかねない重大な事実が明らかとなった後ですら,Bに対し,個別にセクハラ行為について教育ないし指導をせず, Bのセクハラ行為に関する認識の改善を確認することもないまま,漫然とBに控訴人と横乗りをさせるなどして,Bと控訴人が業務上二人きりになる機会を伴う新人育成のための運用を続けていた。そして,その結果,Bは,上記機会に乗じて,控訴人に対し,種々の本件セクハラ行為を行ったものである。以上によれば,被控訴人には本件セクハラ行為について安全配慮義務違反があったというべきである。」

「なお,被控訴人は,平成30年6月にハラスメント防止規程を作成し,社内イントラネットで開くことができる状態にし,また,平成 30年10月以降,ハラスメントについて理解を得るための解説や相談窓口等を記載したハンドブックを全従業員に対して順次配布するなどセクハラを含むハラスメントに対する一般的な取組みは実施していたものである。しかし,ハラスメント防止規定について,その後に入社した労 働者や集荷・配送業務等を行う現場従業員を含む 全労働者に現実に読了してもらうためにどのような方策がとられたのかは明らかでない。ハンドブックについても,本件センターにおいて,現場従業員に対してこれを用いた教育や啓もう活動等が行われていたことはうかがわれない。そして,被控訴人においては,b主管支店に勤務する営業所長全員を出席者とする業務改善会議において,セ クハラに関する資料を配布して会議をしたが,現場従業員に対する研修等については各営業所長に委ねており,Bの勤務していた本件センターにおいて研修が行われたことはなかったというのである。」

「そうすると,少なくとも横乗りという,深刻なセクハラが起きるおそれを否定できない新人育成方法を採用していた被控訴人において,被控訴人が実施していた上記取組が十分なものであったかは疑わしい上,Bによる社内外の女性に対する問題行動が発生した後は,本件センターにおけるセクハラ対策は,もはや上記一般的な取組では足りないというべきであるから,被控訴人において上 記取組が行われていたことは,前記判断を左右するものではない」

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